SiC耐火物は各種耐火物の中でも熱伝導率が良く、即ち炉の中でも早く温度が上がってゆきますので焼成におけるエネルギーロスが少ないと言われております。今回はSiC以外に一般的に良く使われているムライト耐火物と温まりやすさを比較する簡単な実験をしてみました。
夏の直射日光の下にほぼ同サイズの2種類の板を並べました。左は酸化物結合SiC板で、右はムライト板(アルミナ約70%)です。尚、SiC板が白いのは表面にコーティングがされている為です。
実験スタート時はどちらも34.5℃です。
*土岐市は多治見の隣で今年も酷暑でございます。
そのまま約20分放置した結果、SiC板は48℃、ムライト板は39.5℃となり、SiC板の方は素手で持つには熱いくらいに温度が上がりました。
このようにSiC板の方がムライト板と比べ熱伝導率がかなり良い事が体感的に分かります。
では数値的に各種耐火物がどのくらい熱伝導率が違うのかを比べると
- Si-SiC(反応焼結SiC)=40W/mK
- 酸化物結合SiC = 16 W/mK *今回実験した材質
- アルミナ質(アルミナ90%) =2.9W/mK
- ムライト質(アルミナ70%)=1.9W/mK *今回実験した材質
- ムライト・コーディライト質(アルミナ55%)=1.7W/mK
(1000℃での数値・上記は参考数値です)
というようにムライト・コーディライト質と比べると酸化物結合SiCでも約10倍近く熱伝導率が良いという事になり、それだけSiC耐火物が温まりやすいと言えます。
セラミックスメーカー様の中には焼成時の省エネを目指して出来るだけSiC系耐火物を使うようにしている所もございます。