再結晶SiCサヤ(匣鉢)

再結晶SiC(Recrystallized SiC / Re-SiC) 製のサヤ(匣鉢)です。写真のサヤ(匣鉢)のサイズは300 x 230 x (70+10) H です。

再結晶SiCの特徴は、SiC99%と他のSiC耐火物よりもシリカ分が圧倒的に少ない点で、シリカと反応してしまう材料・製品の焼成には有利です。

ただし、大気雰囲気での焼成では(焼成温度にもよりますが)酸素O2と反応し少しずつですが表目にシリカSiO2は生成されます。大気雰囲気での最高使用温度は1,600℃です。

一方、不活性ガス雰囲気や真空雰囲気での焼成ですと2,000℃以上でも持つ場合があります。

再結晶SiCはアルミナ系耐火物よりも機械的強度があり、熱伝導率も良く、ヒートショックにも強いのが特徴です。

 

再結晶SiC耐火物の見た目の違い 表面状態比較分析2

シビアな製品を焼成する場合に、載せる製品と棚板との接触具合が違ったり、表面粗さが違うと製品に影響が出る可能性も考えられますので、その点を検証する為再結晶SiCの見た目の違う部分の表面状態を比較分析しました。

キラキラの強いオモテ・キラキラの弱いウラを各10か所測定し、分布を表示したのが下のグラフです。(オモテ=青 ウラ=赤)

  視野 2.0 x 2.7mm   パラメーター オモテ面(青) ウラ面(赤)
Spd /㎟ 平均値   732    1728
Spd /㎟ 標準偏差   171   328
Spc /㎟ 平均値   606   937
Spc /㎟ 標準偏差    56   213

この結果を見ると、再結晶SiCのキラキラの強いオモテ面は表面の凹凸の山の頂点密度が低く(山の数が少なく)、山の頂点は比較すると尖がっていないという事になります。尚、粗さでよく使われるパラメーターであるRaはほぼ同じでした。

製品がそれぞれの上に載った時にどちらが接触面積が大きいかは一概には言えません。また表面の山の数と山の鋭さは違いますが、それらがセラミックス製品焼成時の収縮に影響するのかしないのかも実際の製品でテストするのが良いかと思います。

再結晶SiC耐火物の見た目の違い 表面状態比較分析1

再結晶SiC耐火物でキラキラの反射が強いオモテ面(左)と弱いウラ面(右)との表面状態を比較分析しました。

下の画像は光学顕微鏡での見た目と、レーザー顕微鏡によるマッピングで高低差を表しています。

更に拡大すると、キラキラの強いオモテ面の方が結晶粒が大きく、結晶粒の形状が整い平面部が形成されているのが判ります。

キラキラが強い理由はこの結晶粒が大きく、平面部が広い整った形状がより光を多く反射する為です。

オモテ3D画像拡大ウラ3D画像拡大

見た目の違うこれらの2つの再結晶SiCの表面粗さや表面状態の更に詳しい比較分析は次回の記事にて。

再結晶SiC耐火物の表面見た目の違い

同じ再結晶SiCでも、物によって、オモテ・ウラによって、または同じ物の同じ面でも表面の見た目に違いがあったりします。下の二つの再結晶SiC製トレーは元は同じ配合の物です。

写真では中々うまく現物の感じを映し出せないですが、左の物の方が、蛍光灯の下などで見るとキラキラが多く強く反射します(太陽光の下では蛍光灯の下ほどではないですが)。触った感じもキラキラした部分の方が少しだけざらざらしている感じもしますが、見た目ほどの差は感じられません。

この差ができる原因は成型時のSiC原料の粒度の偏りではなく、製造時の焼成によるものです。炉内で多く熱を受ける部分はSiCが再結晶化する際により結晶粒が成長する為です。

製造工程・焼成時の炉内での設置方向や位置、固定方法、隣の製品との兼ね合い等で、焼き上がりの再結晶SiC耐火物の表面見た目が変わったりしますが、では結晶粒が成長するとどういう理屈でキラキラが多く強く見えるのか?の詳細分析は次回の記事にて。

N-SiC(窒化ケイ素入りSiC)チューブ

N-SiC(窒化ケイ素30%弱+SiC)で作った炉内に設置するチューブです。

片側封じのチューブ状で片側に穴が開いており、ここからエアーを炉内に注入します。

急激な温度変化と強酸化雰囲気により、強度のあるSiCでも痛みが出やすい使用条件ですが、弊社販売のN-SiCの材質は従来品SiCよりも耐久性があるという評価を頂いております。ヒートショックに関してはN-SiCは他のSiCよりも比較的耐久性があるというデータもありますし、条件にもよるかと思いますが、耐酸化性能も良いという事になります。

ムライト・コーディライト質大型支柱

ムライト・コーディライト質の大型支柱です。

ジョイント部分と支柱部分があり組み合わせて使います。

通常のL型支柱と比べるとその大きさが判るかと思います。

良く使われるパターンはSi-SiCビーム組用の支柱で、ジョイントの穴やキャップの凹み部分でSi-SiCを受けます。

尚、コーディライトが入っている為、1300℃を超える温度では注意は必要です。

SiC棚板が機械的衝撃で割れた場合の割れ方

使用中の炉内でSiC棚板が割れる原因は熱衝撃(ヒートショック)がほとんどですが、機械的衝撃で割れた場合はその破断面、割れ方に特徴があります。

下の写真は機械的衝撃で割れたSiC棚板です。

割れ目が二股になっており、また割れ目が熱衝撃による割れの場合よりも少し直線的だったり、カクっと折れ曲がっていたりします。

破断面も熱衝撃による割れの場合よりも凸凹していたりもします(常温で割れた破断面は当然キラキラしています)。

下の写真はまた別のSiC棚板ですが、機械的衝撃が原因の場合は割れ目のラインがギザギザしている場合があります(熱衝撃が原因の場合は割れ目はもっと滑らかな曲線を描きます)。

炉に入れる前に機械的衝撃を与えてしまったが完全には割れずに、クラックに気付かずにそのまま炉に入れて焼成過程の熱による膨張収縮の応力を受けて初めてその前に入っていたクラックから完全にSiC棚板が割れるという場合もあります。

宜しければ、同様の過去の記事「SiCプレートの割れ方の違いとその原因」もご参照ください。

SiC棚板破断面で光沢と艶消しが混在している場合

回の記事で、SiC棚板の破断面で、「光沢状態=降温時の割れ」「艶消し状態=昇温時の割れ」とご説明しました。

下の写真はSiC棚板破断面で光沢と艶消しが混在している珍しいパターンです。

破断面の左と右は艶消しになっていますが、破断面中心付近はSiC粒の光沢が残っています。これは、最初に棚板の端の方からクラックが入り、最後に残った中心部が降温時に割れたという事が見て取れます。尚、ヒートカーブ中の昇温時に棚板の端が割れて艶消しになったのか、それとも降温時にクラック入ったのが、そのまま次また焼成されてヒートカーブの700~1000℃弱を通過し艶消しになったのかはこの写真だけでは判断できません。

 

SiC棚板破断面の光沢具合と割れたタイミング

前回の記事でご説明した通り、ヒートショックでSiC棚板が割れやすい温度帯は約300~900℃くらいです。また、炉内温度が約700~1000℃弱は一番酸化されやすい温度帯です。これらの要素を元にSiC棚板破断面の光沢具合によってヒートカーブ中のどのタイミングで棚板が割れたかをある程度推測する事は可能です。

下の写真は降温時に割れたと思われるSiC棚板です。

破断面は酸化されておらずキラキラしたSiC粒の光沢が残っています(破断面が酸化されると艶消しになります)。即ちヒートカーブにおいて、割れた後に酸化されやすい700~1000℃弱を通過していない為です。

一方下の写真は昇温時に割れた可能性の高いSiC棚板です。破断面が酸化されSiC粒の光沢がほぼ無くなり艶消しになっています。即ちヒートカーブにおいて、割れた後に酸化されやすい700~1000℃弱を通過した為です。

但し、厳密に言うと、降温時の800℃付近で割れると破断面はそれなりに艶消しになり(若干艶消し具合は弱めですが)、また、降温時にクラックが入っても再度炉に投入され酸化されやすい700~1000℃弱を一度通過すると破断面は艶消しになります。

若干判断が難しいケースもありますが、SiC棚板破断面の光沢具合でおおよその割れたタイミングは推測できます。

炉内の棚板・セッターの割れやすい温度帯

SiC棚板やアルミナセッター等の耐火物が炉内で割れる原因のほとんどがヒートショックですが、実は割れやすい温度帯と割れにくい温度帯があります。

下の図はセラミックス焼成のヒートカーブ(焼成曲線)の一例です。

図中の記載の通り約300℃~900℃くらいまでの温度帯で急激な温度変化が耐火物に対して起こると、ヒートショックによる割れが発生しやすいです。一方約900℃から上はSiC棚板でもアルミナセッターでも赤熱してくる温度であり、赤熱状態の高温度帯では多少急激な温度変化が有っても割れにくいです。

以前の記事で記載した通り、炉内温度が上がる時に割れるのを「昇温割れ」、炉内温度が下がる時に割れるのを「降温割れ・冷め割れ」と言いますが、どちらも割れやすい温度帯は同じです。

冷め割れでの棚板の割れが多いという場合は、例えば炉の扉を開けるタイミングを炉内温度が200~300℃未満になってからにすると改善するケースが結構あります。