酸化物結合SiC耐火物の原料粒度と表面状態

セラミック製品の焼成等に一般的に良く使われる一番安価な酸化物結合SiC棚板/耐火物は、他のSiC耐火物(反応焼結SiC、窒化物結合SiC、再結晶SiC)や高温用アルミナセッターと比べ表面状態は少々粗いものとなります。これは酸化物結合SiC耐火物の場合、粒度の異なる何種類かのSiC原料をプレス成形し製造する為で、粗い粒度の原料を入れることによりそれが骨材となり、強度・耐久性が出るのですが、反面どうしても表面に小さな凹部分ができます(下写真)。


酸化物結合SiC板コーティング表面
酸化物結合SiC棚板コーティング表面

表面のコーティングを取った状態は下写真となります。


酸化物結合SiC板表面
酸化物結合SiC棚板表面
金型を作れば多少複雑な形状も製造可能で、下写真の様になります。

酸化物結合SiC耐火物例
酸化物結合SiC耐火物の例

この様な表面状態になるのは、SiC原料の場合アルミナ・ムライト系原料と違いプレス成形時の原料の流動性が良くない為で、表面が少し粗いからと言ってプレス時の締りが悪いという訳ではありません。尚、板形状の場合一般的には厚い物は粗い原料を多くし、薄いものは細かい原料を多くしたりと、その形状・厚みに対し最適な粒度配合で製造されます。

又、通常よりも細かめの粒度で製造した場合表面の凹部は少なくなり比較的滑らかな表面になりまずが、耐火物としての性能は少し劣る物となります(急熱・急冷に対する割れの発生等)。下の写真は細粒構成で作った酸化物結合SiC板を更に表面研磨したもので、多少のピンホールは表面に出ますが、ほぼ鏡面状態になっております。

細粒構成の酸化物結合SiC表面研磨後
細粒構成の酸化物結合SiC板表面研磨後

尚、SiC耐火物は非常に硬く、ダイアモンド工具でないと加工はできませんので、研磨加工費は結構高いものになります。

新形状瓦焼成用SiC耐火物

この度、大幸セラミック独自の新デザイン瓦焼成用SiC棚棒(受台)を開発しました。<意匠登録第1410233号>

大幸セラミック・新形状瓦焼成用SiC棚棒
大幸セラミック・新形状瓦焼成用SiC耐火物

SiC棚棒(受台)に板形状のSiCセッターを差込み突起部で斜めに支え、瓦をそのセッターに立掛け安定させ焼成するという以前からよくある方式の瓦焼成用の酸化物結合SiC製窯道具です。当社の開発した新形状SiC棚棒は、従来の他社製品と比べ約5~10%の軽量化を実現すると同時に、プレス成形品である事から抗折力の有る粒度配合と中までしっかり詰まった低気孔率が寄与し、曲がりに対しても強いものとなっております。

又、他社従来品では立体的な瓦形状や瓦引っ掛け用突出部がSiC棚棒の突起部に接触し製品の瓦が破損するケースがありましたが、当社新形状は瓦の載るスペースが最大限広く設計されており、この問題を解決しました(下写真)。

大幸セラミックSiC棚棒の瓦積載部
大幸セラミックSiC棚棒の瓦積載部

更には差し込まれるSiCセッターのヒートショックによる割れを軽減する為、セッターを支持する突起部形状に当社独自の工夫がされております。

セッターを差し込む棚棒上面の溝とセッターを斜めに支える突起部が連続した傾斜面になっておらず一部空間が空く形でセッターを支える事によりセッター棚棒接触部に熱がこもり難い支持方法にし、セッター根元部とセッター上部の温度差によって起こるセッター根元付近の割れを軽減します(下写真)。

SiC棚棒とSiCセッター間の空間
SiC棚棒とSiCセッター間の空間

又、出来るだけセッターの縁を棚棒突起部が支える事により温度差によるセッター根元付近の割れを軽減します(下写真)。

SiC棚棒突起部のセッター支持位置
SiC棚棒突起部のセッター支持位置

この温度差(ヒートショック)によるセッター根元の割れに関する詳しい説明はこちらのブログをご覧下さい。

この様に大幸セラミック新形状SiC棚棒はセッター側の寿命も延ばすべく独自の形状となっております。また当社の場合、棚棒とセッター・製品の引っ付き防止の為上面吹き付けコーティング加工も追加費用無しで対応しております。

瓦焼成用SiCセッターの割れの原因とその対策

瓦焼成風景
瓦焼成風景

瓦の焼成は、板形状のSiCセッターをSiC棚棒に差込みそのセッターに立掛けて焼成しますが、そのSiCセッターが割れる箇所は棚棒と接する根元部分が多いです(下写真)。

SiCセッターの割れ方
SiCセッターの割れ方

これは荷重で割れると言うよりもヒートショック(熱衝撃)によって割れる原因が大きいと考えられます(上の写真の通りセッターの傾きは20度くらいですのでセッターにさほど荷重はかかりません)。

最高温度約1140℃、焼成時間10時間強と言った条件で瓦は焼成されますが、温度が下がっていく過程で体積の大きい中実材のSiC棚棒はなかなか温度が下がらず、厚み8mmの薄い板形状SiCセッターはそれよりも温度が早く下がろうとします。その場合、棚棒と接しているセッター根元部分は棚棒からの熱を受け根元部だけなかなか温度が下がらず、結果棚棒と接していないセッターのそれより上の部分と温度差ができ、収縮率の違いで歪ができ、セッターにクラックが入るという原理です。

SiC棚棒とSiCセッター割れ
SiC棚棒とSiCセッター割れ

その対策として、当社新形状SiC棚棒は、セッターを差し込む棚棒上面の溝とセッターを斜めに支える突起部が連続した傾斜面になっておらず一部空間が空く形でセッターを支える事によりセッターと棚棒の接触部分に熱がこもり難くし、セッターが棚棒から受ける熱を軽減しています。

SiC棚棒とSicセッターの空間
大幸セラミック新形状SiC棚棒とSicセッターの空間

又、板形状は温度が下がる時、縁部分から下がってゆきますので、元々板の縁と中心では温度差が必ず発生しますが、中心近くで物が接しているとその部分の温度の下がりが更に遅くなり、即ち更に縁と中心の温度差が大きくなり割れやすくなります。

その対策として、当社新形状SiC棚棒は突起部がセッターを支える箇所も出来るだけセッターの縁で支える様にし、棚棒と接するセッター根元部とセッター上部の温度差(ヒートショック)を軽減し、セッター根元付近の割れを防ぎし、セッター側の寿命を延ばす試みがなされております。

SiCセッター支持部分
大幸セラミックSiC棚棒のSiCセッター支持部分

Si-SiC(反応焼結SiC)製バーナーノズルと従来品SiCの比較

当社販売のバーナーノズル(スリーブ)は高性能Si-SiC質です。


Si-SiC(反応焼結SiC)製バーナーノズル
Si-SiC(反応焼結SiC)製バーナーノズル
Si-SiC(反応焼結SiC)は緻密質であり、耐酸化性能が非常に高い為、高性能バーナーノズルとして広く使われております。バーナー付近では特に酸化反応が激しい為、Si-SiC製が最も適しております。価格も比較的安価で御提供しておりますので、コストパフォーマンスは非常に優れていると思います。尚、Si-SiCの性質上1,350℃を超える条件では中の金属シリコンが溶け出てしまいますので使用できません。
    比較対照として当社のSi-SiC製と他社の従来の酸化物結合SiC製を比較してみます。

左:当社Si-SiC  右:他社SiC
左:当社Si-SiC      右:他社SiC

他社の従来品酸化物結合SiC製のバーナーノズルは緻密体ではなくポーラスで、又耐酸化性能も劣るため使って行く内に徐々に酸化され色が白っぽくなりサイズも膨張し、亀裂が入ります。


他社の酸化物結合SiCバーナーノズル
他社の酸化物結合SiCバーナーノズル
酸化された他社製SiCバーナーノズルの表面
酸化された他社製SiCバーナーノズルの表面

 

当社では高品質のSi-SiCバーナーノズル(バーナースリーブ)を競争力ある価格にて販売しておりますので、是非お問い合わせ下さい。