(酸化物結合)SiCセッター/棚板表面には、通常片面にコーティングがされております。
これは上に載せる焼成物とSiCセッターが引っ付かないようにする役割を果たします。焼成雰囲気にもよりますが、焼成に使用すると通常SiCセッター表面には少しシリカ(SiO2)が生成され、高温ではネバネバした状態の物ですが冷えるとガラスのように固まり、焼成物がセッターに引っ付いてしまいます。また焼成物の方からも素地(きじ)や釉薬から耐火度の低い成分が溶け出してセッターに付着すると冷めた時に固まり同じくセッターに引っ付きます。
このコーティングは新品の状態ですと有機バインダーで軽く粉状の物が引っ付いているだけですので、硬い物で強くこすったり、水に濡れると剥がれて取れてしまいます。
コーティングは1,100℃以上の温度で焼成されて初めて中の無機バインダーが適度に溶けセッターに焼き付く仕組みになっていますので、1,100℃未満(例えば700℃等)で初回焼いてしまうと中の有機バインダーだけ飛んでなくなってしまい、無機バインダーは溶け出さない為、炉から出すとコーティング表面は粉っぽく非常に取れやすい状態になってしまっています。尚その場合、その後そのまま1,100℃以上で再度焼成すればセッターに焼き付きます。
因みに一度1,100℃以上の焼成で焼きついたコーティングはしっかりセッターに固着していますので、その後は低い温度で焼成してもコーティングは取れやすくなったりはしません。
コーティングは離型剤のような役割ですので、固まりすぎてもその役割を果たさず、固まらなさ過ぎても直ぐにコーティングが飛んでなくなってしまうという事になりますので、焼成後は指でこすってかすかに粉っぽいような状態が離型剤の役割を果たしつつ長持ちするコーティングという事になります。