SiC(炭化ケイ素)原料事情

前回の記事で記載した通り、中国共産党の環境政策を発端とする中国の電力不足の為、大量の電気を必要とするSiC製煉は大きく影響を受けております。

SiC製錬所の変電設備
SiC製錬設備の電力端子

例えば中国甘粛省天祝チベット自治区には18社のSiC製煉所がありますが、地方政府は9月18日に内7社に対し操業停止命令、残りの11社にも使用電力の上限を設け、実際にはSiC製煉には全く足りない電力上限の為、結果現在もこの地区は全製錬所が操業停止中です。

その隣の寧夏回族自治区では操業しているSiC製錬所は有りますが、電気料金が0.4元⇒0.6元/Kwhと電力コストが1.5倍に高騰、原料のコークスもUS$500⇒US$1200/t と2倍以上になっています。

SiC製錬風景
SiCインゴット

その為、SiCインゴット価格の相場は今年9月以前の約2倍のレベルで推移しており、インゴットを粉砕・脱鉄・整粒したSiC原料価格は約1.5倍、そのSiC原料から作られるSiC耐火物の価格も大幅に上がってしまい、残念ながらこの流れは簡単に元には戻らない物と思われます。