炭化ケイ素(SiC)の製造工程 / 現地SiC製錬工場レポート1

SiC耐火物の原料となる炭化ケイ素(SiC)は人工的に作られる合成鉱物です。現在世界で使われるSiC原料のほとんどは中国で製造されており、4回に分けて現地SiC製錬工場の製造工程等を詳しく見てゆきます。

中国の北西部、甘粛(かんしゅく)省・蘭州市から高速道路で1時間弱走ったところにあるSiC製錬工場です。SiCは電気抵抗炉で製錬される為豊富な電力が必要ですが、この辺りは黄河上流域で水力発電があます。またSiCの元原料となるコークスと石英も近くで採れる為ここに工場が建設されました。SiC smelting company entrance 1SiC smelting company transformerこの地域はステップ気候のため植林した木以外は大きな樹木がない荒涼とした山岳地帯です。工場には独自の35,000KVA変電設備があります。

SiC smelting plant environmental slogan工場内にスローガンが掲載されている通り、近年の中国の環境保全政策は益々厳しさを増し、本工場も共産党の査察を定期的に受け訪問時も査察前で操業は停止しておりました。政府の環境保全政策の為、この辺りに10数年前までは20社ほどあったSiC製錬会社が今では3社しか残っていないとの事で、SiC原料高騰の最初の原因はここから来ている事が判ります。

工場の全景写真です。2007年に設立された工場で、年間SiC製錬能力は約20,000トンで規模的には中規模クラスですが、中国でも指折りの高品質SiCを供給できる工場です。社長は地元の有力共産党代表です。SiC smelting panorama次回はSiCの元原料について見てゆきます。