SiC耐火物の寿命

時折、「SiC耐火物は何年くらい使えるのか?」と聞かれる事がありますので、今回はそのSiC耐火物の寿命についてお答えいたします。


酸化物結合SiC(カーボランダム)棚板台車
酸化物結合SiC(カーボランダム)棚板台車

Si-SiC(反応焼結SiC)ビーム組み台車
Si-SiC(反応焼結SiC)ビーム組み台車

SiC耐火物の寿命を言う時によく「何年くらい使える物なのか?」と聞かれますが、専門的見地から言いますと、寿命は”何サイクル”という尺度で計ります。1サイクルとは”1回常温から最高温度まで上がりまた常温に戻る”事です。即ちトンネル炉では炉に入ってから出てくるまでで1サイクル、バッチ式のシャトル窯ですと1回窯に入れて出すまでで1サイクルです。

当然、毎日炉に入る場合と1週間に1回しか炉に入らない場合とでは耐火物の耐用年数は変わってきますので、お客様の使用頻度を完全に把握しない限りは年月では判断できません。

各種SiC耐火物の基準耐用サイクル

  • 酸化物結合SiC(カーボランダム)=約300~600サイクル
  • 再結晶SiC(Re-SiC)=約500~800サイクル
  • 反応焼結SiC(Si-SiC)=約2,500~3,000サイクル

上記の数字はあくまでも1つの基準であり、当然ながら、SiC耐火物の形状、炉のヒートカーブ(昇温・降温スピード)、炉内の雰囲気(酸化・還元雰囲気等)、棚組みの仕方、焼成物の形状や重量、等々の諸条件によってSiC耐火物の劣化具合は大きく変わってきます。

又、SiC耐火物の寿命が来るとはどういう事かというと、SiCが酸化・分解されSiO2が生成され、SiC成分が減ってくることにより白っぽく変色し、膨張し、強度が下がり、曲がりや割れが発生することです(酸化され劣化した酸化物結合SiC耐火物の事例はこちらをご参照下さい)。

上記数値の通り、SiC耐火物の中では緻密質である反応焼結SiC(Si-SiC)が一番酸化されにくい性質から、一番寿命が長いです。