瓦焼成用SiCセッターの割れの原因とその対策

瓦焼成風景
瓦焼成風景

瓦の焼成は、板形状のSiCセッターをSiC棚棒に差込みそのセッターに立掛けて焼成しますが、そのSiCセッターが割れる箇所は棚棒と接する根元部分が多いです(下写真)。

SiCセッターの割れ方
SiCセッターの割れ方

これは荷重で割れると言うよりもヒートショック(熱衝撃)によって割れる原因が大きいと考えられます(上の写真の通りセッターの傾きは20度くらいですのでセッターにさほど荷重はかかりません)。

最高温度約1140℃、焼成時間10時間強と言った条件で瓦は焼成されますが、温度が下がっていく過程で体積の大きい中実材のSiC棚棒はなかなか温度が下がらず、厚み8mmの薄い板形状SiCセッターはそれよりも温度が早く下がろうとします。その場合、棚棒と接しているセッター根元部分は棚棒からの熱を受け根元部だけなかなか温度が下がらず、結果棚棒と接していないセッターのそれより上の部分と温度差ができ、収縮率の違いで歪ができ、セッターにクラックが入るという原理です。

SiC棚棒とSiCセッター割れ
SiC棚棒とSiCセッター割れ

その対策として、当社新形状SiC棚棒は、セッターを差し込む棚棒上面の溝とセッターを斜めに支える突起部が連続した傾斜面になっておらず一部空間が空く形でセッターを支える事によりセッターと棚棒の接触部分に熱がこもり難くし、セッターが棚棒から受ける熱を軽減しています。

SiC棚棒とSicセッターの空間
大幸セラミック新形状SiC棚棒とSicセッターの空間

又、板形状は温度が下がる時、縁部分から下がってゆきますので、元々板の縁と中心では温度差が必ず発生しますが、中心近くで物が接しているとその部分の温度の下がりが更に遅くなり、即ち更に縁と中心の温度差が大きくなり割れやすくなります。

その対策として、当社新形状SiC棚棒は突起部がセッターを支える箇所も出来るだけセッターの縁で支える様にし、棚棒と接するセッター根元部とセッター上部の温度差(ヒートショック)を軽減し、セッター根元付近の割れを防ぎし、セッター側の寿命を延ばす試みがなされております。

SiCセッター支持部分
大幸セラミックSiC棚棒のSiCセッター支持部分