中国の陶磁器吊るし焼き

中国福建省徳化の工場での陶磁器の吊るし焼きの様子です。

Si-SiC(反応焼結SiC)ビームと細いSi-SiCロッドを使用して吊るしています。

因みに比較的大きなトンネル炉もSi-SiCビーム組台車です。

細いSi-SiCロッドの代わりにアルミナ製ロッドでも良いかと思います。

中国の陶磁器産地徳化の工場2

中国の陶磁器産地、福建省徳化の工場紹介続きです。焼成治具はSi-SiC(反応焼結SiC)製の支柱とビームが主流でこの点は日本よりも進んでいると言えるでしょう。

素焼窯の棚組

絵付け窯の棚組

本焼成の棚組

見てお判りの通り、ビーム組みにする事により、支柱の占めるスペースが最小限に抑えられ積載率が上がっています。

更にSi-SiC支柱に多数の穴が開いており細いSi-SiCビームを通す事で棚組の高さを細かく変えられる仕様にはなっていますが、実際の現場では製品高さに応じて棚組の高さを変えるところまでの作業はしていませんでした。

中国の陶磁器産地徳化の工場1

中国の陶磁器産地はいくつかありますがその中の一つ、福建省にある徳化の紹介です。山に囲まれた盆地で土地が広くない為、陶磁器工場は全てビルになっており、6階建て等で、日本にはないスタイルです。

焼成炉の煙突は建物の横から上に伸びています。

ビルの中が工場の為にスペースもあまり広くなく、石膏型置き場と成形・乾燥場所が近かったりするのが気になります。石膏型の表面についているふわふわした白い粉=芒硝(ぼうしょう)【硫酸ナトリウム】が窓から入ってくる風に吹かれて飛び、素地の上などに着くと焼成後に黒く変色してしまいます。

耐火物専門の当社の本題である、焼成治具については次回ご紹介致します。

Si-SiC(反応焼結SiC)ビーム

Si-SiC(反応焼結SiC)は曲げ強度が250Mpaと高機能SiC耐火物の中では強度がありますので、台車の構造材としてのビームによく使われます。ただし、最高使用温度が1350℃ですので、それ以上高温の条件下ですと、含侵している金属シリコンが染み出てきてしまいますので、ご使用頂けません。

比較的平べったい形状のビームも製造可能です。

穴開きのビームも製造可能です(穴開け加工は焼成前のグリーンにのみ加工可能です)。

弊社では様々な形状・サイズのSi-SiCビームをご提供できますので、是非お問合せ下さい、

アルカリ成分によるアルミナセッター表面の荒れ

ファインセラミックスの焼成において、原料配合にアルカリ成分が多い場合は、窯道具であるアルミナセッターの劣化が早いです。下の写真は少し表面が荒れてきたアルミナセッターです。

これはアルカリ成分(ナトリウムNa、カリウムK、カルシウムCa、マグネシウムMg、バリウムBa等)が焼成時に製品より揮発し、アルミナセッター表面と反応し、表面の層のみ膨張して行き表面にクラックが入る現象です。ひどくなると下の写真の様にまでなります(尚、ここまでになるとアルミナセッターの全体サイズも少し膨張して大きくなっています)。

このアルカリアタックに対して耐性のある特別配合のアルミナセッターもあります。表面が荒れるスピードは通常のアルミナセッターと比べ各段に遅いですので、この現象でお困りの企業様は是非ご相談下さい。

酸化物結合SiCプレス成型品 角サヤとフタ

SiC耐火物の中でも一番安価な酸化物結合SiCで製造した角サヤ(匣鉢)とフタです。

これだけ立ちの高い形状を均一な密度でプレス成型し、端面の平面度を出し、フタの反りも無く、サヤとフタがほぼ隙間なくピッタリ合う精度で作るのには高い技術が必要です。プレス成型品ですので、鋳込み成形品と違い内在する気孔(ポア)は非常に少なく、比重は約2.8あり、耐久性があります。

SiCとリチウムの反応

再結晶SiCプレート(SiC 99%)に炭酸リチウム系のワーク(粉体)を載せ、900℃大気雰囲気で焼成テストをしました。2回目の焼成までは大きな変化は有りませんでしたが、3回目焼成くらいからワークと接しているSiCプレート部分が白っぽくなりはじめ、徐々に反応度合いが大きくなり、最終的に7回目焼成でワークが溶けてSiCプレートに溶着してしまいました。その写真です。

裏側にまで貫通して反応の跡が見られます。

大気雰囲気での焼成中の反応は、1で炭酸リチウムがSiCと酸素O₂に反応し、ケイ酸リチウムが生成され、2でケイ酸リチウムがSiCと酸素O₂に反応し、炭酸リチウムとシリカが生成され、シリカとリチウムが反応した結果と思われます。
*シリカとリチウムは高温下において激しく反応します。
1:Li₂CO₃(炭酸リチウム) + SiC + 2O₂ → Li₂SiO₃(ケイ酸リチウム) + 2CO₂
2:2Li₂SiO₃(ケイ酸リチウム) + 2SiC + 4O₂ → 2Li₂CO₃ (炭酸リチウム) + 4SiO₂(シリカ)

SiC支柱とSiCビーム組み

多段でSiCビームを組む場合、支柱の安定性は非常に重要です。

下写真の支柱は酸化物結合SiC製で、安定して積み上げられるサイズです(サイズは縦x横=120x210mm・高さは200mmと250mmが有ります)。

SiC支柱の特徴は熱間荷重に対しても非常に強く、焼成物が重たい碍子(ガイシ)等の焼成でも支柱の高さが縮む事もなく、長く使えます。

下の写真はこのSiC支柱とSi-SiCビームを使った碍子(ガイシ)焼成用の台車組みです。

SiC支柱の穴にSi-SiCビームを通します。ビームの高さ調整には穴に耐火レンガ等をかませたり、支柱と支柱の間に同じSiC材質のスペーサーをかませたりします。

酸化物結合SiCサヤ(匣鉢)プレス成型品

プレス成型で製作した酸化物結合SiCのサヤ(匣鉢です)。SiC(炭化ケイ素)の中で一番安価な材質が酸化物結合SiCです。

真ん中でカットした物が下の写真です。流動性の悪いSiCでこのような立ちのある形状をうまく均一に成形するのには高い技術とノウハウが必要です。

アルミナ・ムライト・コーディライトと言った白物耐火物と比べSiC耐火物はヒートショックに強かったり、熱伝導が良かったり、熱間荷重に対して強く高温でも変形しないといった特徴があります。

ムライト・コーディライト鋳込成形サヤ(匣鉢)

ムライト・コーディライト質の鋳込成形のサヤ(匣鉢)です。

鋳込み成型品の為、表面の凹凸が非常に少なく滑らかで、かつ鋳込み前の原料時点で脱鉄処理してありますので、表面の鉄粉が非常に少ないのが特徴です。

コーディライト入りの為ヒートショックには強い配合です。最高使用温度は1,250℃です。